ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームのイメージ画像

ロコモティブシンドローム(通称「ロコモ」)とは、骨、関節、筋肉、神経といった運動器の機能が低下することで、歩行や立ち座りといった移動機能が衰え、自立した生活が難しくなるリスクが高まっている状態を指します。
日本整形外科学会が提唱した概念で、ロコモの進行が、要介護状態になる主な原因としてとらえられています。

日本では、65歳以上の高齢者のうち、ロコモの該当者あるいは予備群とされる人は4,700万人以上にのぼるとされ、男女比では女性に多くみられます。
高齢化社会の進行とともに、ロコモ対策は国全体の健康寿命の延伸にもつながる重要な課題となっています。

  • 英語で移動することロコモーション(locomotion)といい、移動するための能力があることをロコモティブ(locomotive)といいます。

ロコモティブシンドロームの症状

以下ような「日常のささいな動作」の中に、骨や関節、筋肉などの運動器の衰えが現れます。
早期に気づき、適切な対処を行うことで、進行を食い止めることが可能です。
一つでも当てはまる場合は、ロコモの可能性がありますので、お早めに一度ご受診ください。

  • 片脚立ちで靴下を履くのが困難になった
  • 家の中でつまずく・転びやすくなった
  • 掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど、家のやや重い仕事が困難
  • 階段を手すりなしで昇るのがつらい
  • 横断歩道を青信号のうちに渡れない
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 椅子から立ち上がるとき、手を使わないと立てない
  • 2kg程度(およそ牛乳1Lパック2本分)の買い物袋を持ち帰るのが大変に感じる
  • 歩く速度が遅くなったと感じる など

ロコモティブシンドロームの原因となる疾患など

ロコモは、さまざまな運動器疾患や加齢による身体機能の衰えが原因で起こります。

原因疾患の例

  • 変形性膝関節症:膝関節の軟骨がすり減り、痛みや動作制限が生じます。
  • 変形性股関節症:股関節の軟骨がすり減ったり、関節が変形して痛みが生じます。
  • 脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア:腰部の神経が圧迫され、下肢のしびれや痛みが出ます。
  • 骨粗しょう症:骨がもろくなり、転倒骨折のリスクが増します。
  • サルコペニア:加齢により筋肉量が減少し、体力や動作能力が低下します。

加齢等による機能低下の例

  • 筋力の低下(とくに下肢)
  • バランス能力の低下
  • 柔軟性の低下
  • 持久力の低下
  • 姿勢制御能力の低下

これらの変化は、自覚がないまま少しずつ進行し、気づいた時には生活に支障をきたすほどになっていることも少なくありません。

ロコモティブシンドロームの検査

ロコモの評価には、以下のような簡易テストが用いられます。

立ち上がりテスト

一定の高さの椅子から片脚または両脚で立ち上がれるかどうかを評価します

ステップテスト

2歩でどれくらい進めるかを測定し、歩幅の大きさやバランス能力を評価します

ロコチェック(25問式の自己評価票)

これらの評価をもとに、運動器の機能状態を数値化し、必要に応じてレントゲン検査や筋力測定、骨密度測定などの検査を追加して診断します。

ロコモティブシンドロームの治療および予防

ロコモの治療は、進行度や原因に応じて、生活習慣の見直し、運動療法、薬物療法などを組み合わせて行います。
さらに進行しないよう、予防していくことも大切です。

ロコモが疑われる場合は、まず、原因となる病気がないかどうかを確認し、もし病気があれば、その治療を行うことが必要です。
痛みなどがあれば、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの薬剤を使用する場合もあります。

衰えた運動機能の回復としては、運動療法(リハビリテーション)が有効で、予防も含め、以下のような内容で、理学療法士が患者様ごとのプログラムを作成し、実施していきます。

  • 筋力トレーニング(とくに太もも・ふくらはぎ)
  • ストレッチ:関節の柔軟性向上
  • バランス訓練:片脚立ち、体重移動訓練など
  • 歩行訓練:正しい姿勢での歩行を練習
  • スクワット・かかと上げ運動:自宅でも実施可能な運動の指導 など

さらにロコモが進行しないよう、「ロコトレ」など、自宅でできる予防のための簡単なトレーニングなども、患者様に合わせて指導していきます。

ロコモは「予防できる要介護リスク」です。そのためには早期発見・早期対策がとても重要です。
当院では、患者様とともに適切な治療と継続的な運動を実施していくことで、歩く力やバランス感覚を十分に回復し、日常生活の自立を取り戻すことを目指していきます。
少しでも不安を感じたら、お気軽にご相談ください。

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院長
藤田倫匡
診療内容
整形外科
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